市の債権に関する相殺の可否

地方税法第20条の9
民法第505条

 一般的に、相殺は民法で認められており、双方の合意があれば問題なく相殺できる。
ただし、税については地方税法で、税関係の徴収金以外との相殺は認めていない(国税も同様)。
 公課については、地方税法の規定が準用されるかどうかが問題となるが、税が原則相殺禁止となっているのは、税債権が大量反復的に発生する債権であり、反対債権の確認を行うのが容易でないことが考えられる。公課も、同様の理由により強制徴収が可能であることに鑑みれば、税と同様に相殺は禁止されているとみなすべきと思われる。
 よって、強制徴収債権を除く、非強制徴収債権間においては一般的に相殺が可能であると判断される。

 なお、同じ行政庁内でも、執行機関がそれぞれ異なる債権の相殺については、別途考察が必要と追われる。
 例えば、公営企業局の水道料金還付金と、市長部局の貸付金債権との間の相殺の場合。