下水道接続の未申告が判明したことによる、下水道使用料の遡及請求の期限

地方税法第17条の5
民法第166条

 そもそも下水道使用料の徴収に関して、どこまで地方税法が準用できるかが問題。徴収に関する部分については、準用可能と判断して問題ないと思われるが、賦課処分の部分については疑問が残る。
 個人的には、今回の問題については準用できず、一般法の法理に基づいて検討すべきと判断する。
 何年前までの使用料について遡及して請求できるかは、民法の消滅時効に関する規定で判断できる。民法166条では「消滅時効は権利を行使できる時から進行する」となっており、請求できる時から時効が進行している。
 下水道使用料の請求できる時、とは何時を指すのか。これはおそらく使用料を把握したとき、であると思われる。
 使用料の把握方法は、本来であれば下水道の使用水量の流量メーターの検針を行ったとき、であり、水道使用量に準じて下水道使用量を決定している場合には、水道メーターの検針を行ったとき、とみなすことができる。
 下水道接続が不明であったのだから、当然下水道のメーターは無く、水道メーターにより下水道の使用量を決定するのであるから、水道の検針日が消滅時効の基準日となる。
 よって、検針日から5年以内の使用料については、遡って請求することができる。

 なお、地方税法が準用できる場合の考え方についても同様に5年以内と思われる。
 上記の民法の消滅時効も考慮すべきであるし、地方税法17条の5の規定から考察を行う。
 地方税法17条の5では、更正・決定は5年、賦課決定は3年まで、遡って行うことができるとなっている。下水道使用料を税とみなすと、課税標準は下水道、または水道の実際の使用量である。この使用量は、自治体側が一方的に決定するようなものではなく、メーターを確認することによる申告に基づいて決まるものと考えられる。
 よって、使用量の決定は「更正・決定」に準ずるものであり、これによれば、5年間は遡ることが可能である。
 以上のことから、5年は遡及可能であると考えられる。