強制換価手続きによる換価代金に対する所得税

所得税法第9条

 例えば、滞納処分により不動産を公売し、滞納税に充当、さらには本人に残余金を交付した場合、所得税は残余金に対して一時所得として課税される。残余金が無い場合には所得税がかからないことになる。
 所得税法第9条で、所得税を課さない収入について規定されており、その第1項第10号に
「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号 (定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)」
規定されており、さらに所得税法施行令第26条に
「法第九条第一項第十号 (非課税所得)に規定する政令で定める所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、国税通則法 (昭和三十七年法律第六十六号)第二条第十号 (定義)に規定する強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたものとする。」
規定されている。
 このことから、一般的には、滞納税に充てられた代金については所得計算されず、本人に交付された金銭については、譲渡所得等ではなく一時所得として計算される。

 なお、これはあくまで条文解釈であり、現実的には所得税法基本通達にもあるように、状況によってはこの条文が適用されないこともありうる。