還付加算金の計算期間の終期

地方税法第17条の4

還付加算金の計算期間について、始期については基本的に地方税法第17条の4第1項各号に定められた規定に基づき計算を開始する。
その終期についても、同項に規定があり、
①還付のため支出を決定した日
②充当をした日(同日前に充当適状になった場合はその日)
と規定されている。

①の決定した日とは、
「過誤納金について還付のための意思決定をした日、すなわち過誤納金の還付のためにした支出伺について決裁が行われた日」
つまり、還付決定の通知を行った日ではなく、還付金の支出事務について決裁が行われた日である。
よって、還付する旨の通知をしただけでは、加算期間の終期にはならないことに注意が必要である。
ただ実務上の取扱いとしては、通知をして、いつ以降に市役所へ取りに来てください、と伝達し、いつでも支出できるように現金を用意(支出準備ができていれば現金でない場合もあり)できた段階で、支出の決定がなされた、と判断できるのではないか。

なお、通知してもいつまでたっても取りに来ない、という場合には、同条第2項で除算期間を規定し、その第1号で
「過誤納があることを通知した場合において、その通知を発した日から30日を経過する日までに過誤納の還付請求をしないとき」は「その経過する日の翌日から還付請求があった日までの期間」を加算金計算の機関から除く、というものがある。
よって、30日以上の取りに来ない期間は、還付加算金を加算する必要はない。


②充当をした日とは、
「充当の意思決定をした日」
つまり、充当する旨の決裁が行われた日である。
括弧書きについては、その決裁が行われる以前に充当適状の状態であれば、その充当適状になった日を充当した日とみなす旨を規定している。
これは、還付加算金の利率よりも延滞金利率の方が高いことから、出来るだけ早い日で充当したとみなすべき、という考え方から。

公立幼稚園保育料、公立学校授業料の債権種別

幼稚園保育料、公立学校授業料は、公の施設の使用料として公債権の性質を有する。
大学授業料について判例等がいくつがでているが、これまでのところ公立学校の授業料の性質に関するものはない。
判例の内容を基に私債権である、と解説する書籍もあるが、判決内容を読む限り私債権と決断するまでには至らないと思われる。


最高裁判例要旨
○S52.3.15(昭和46年(行ツ)第53号)
国公立大学における専攻科修了認定行為は、行政事件訴訟法第3条にいう処分にあたる。

○S52.3.15(昭和46年(行ツ)第52号)
大学の授業科目の単位授与(認定)行為は、司法審査の対象にならない。

○S62.2.6(昭和59年(オ)第1058号)
国家賠償法第1条第1項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動も含まれるものと解するのが相当。

○H18.11.27(平成16年(受)第2117号)
私立大学の授業料は、学校と生徒との私人間で交わされた在学契約に基づき、学校が教育役務、教育施設利用させる義務を負い、生徒はそれに対する対価(授業料)を支払うことをお互いに約束した、有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約と解するのが相当。

○H18.11.27(平成17年(受)第1437号)
私立大学の入学金は、在学契約の予約を行うためのものであり、授業料は在学期間中の教育役務に対する対価である。

下級審裁判例要旨
○H19.3.23名古屋地裁(平成17年(ワ)第4665号)
大学を運営する自治体と学生との間の在学に関する法律関係は、大学が教育役務を提供するとともに、教育施設を利用させる義務を負い、学生が大学に対して、これらに対する対価を支払う義務を負うことを中核的な要素とする公法上の無名契約(在学契約)と解するのが相当である。
国公立大学における入学許可は行政処分であるが、公法上の無名契約を成立させるためには、双方の意思表示が必要であり、その意思表示に欠缼又は瑕疵があれば民法上の意思表示に関する規定に準じて取り消され得る。

納期前納付された地方税に対する還付請求

地方税法第17条の3

 地方団体の徴収金は、基本的には納付額が確定し、条例で定められた納期の間に納付される。
 納期とは、住民税であれば地方税法第320条の規定により条例委任され、納期限前10日であったり、1カ月程度設けられている。本来であれば、この期間内に納付してもらわなければならない。
 しかし、実務的には納期前に納税通知書を送達することが多く、定められた納期外でも納付することが可能である。
 さて、納期前納付された地方税に対して、納税義務者から「勘違いして全額納付してしまったため、納期未到来分についてお金を戻してほしい」という申し出に対して、どう対応すべきか。

 このような場合は、地方税法第17条の3第1項の規定により、納税義務者は還付請求することができない、と規定されている。
 表面的には、支払い義務が成立していない弁済であるため、還付すべき債権に見えるが、納付義務が成立していることから、本規定により、納期前納付を適法な納付であることと定義し、自治体においても問題なく収納できるようにするための規定でもある。

承継税額の端数計算について

地方税法第9条

 

死亡人の滞納税を二人以上に承継する場合、その承継額に一円未満の端数が発生した場合


地方団体の徴収金の端数計算について
(昭和38年9月19日自治丙府発第49号)

五 確定金額の意義
(一)税額の確定金額
ウ 賦課決定により税額を確定する地方税
(注)一 被相続人が納付(納入)すべき地方団体の徴収金を、法第九条第二項の規定により二人以上の相続人が承継する場合における各承継税額は、確定金額に該当しないものである。(改正地方税法(徴収関係)の取扱いについて(通達)第一・一(九)クなお書参照)

還付加算金について

 

地方税法第17条の4


租税の過誤納金を還付する場合、地方税法で還付加算金を加えてけ還付しなければならない。
その場合の還付加算金の計算の始期について、地方税法第17条の4第1項で4つの場合に分けて規定している。
(あえて番号をずらして記載すると)

第2号
更正の請求に基づく更正による過納金
過大に申告していたために、それを修正する申請(請求)を行い、還付金が発生した場合。
起算日:更正の請求があった日の翌日から起算して3カ月を経過する日と、当該構成があった日の翌日から起算して1カ月を経過する人のいずれか早い日
地方税では、法人市民税が該当。償却資産税も該当か?

第3号
確定申告、または修正申告に基づき賦課された所得税が、更正により減額になったことに伴い、その所得税課税標準としていた住民税も減額になったことにより発生した過納金
起算日:所得税の更正の通知が自治体にされた日の翌日から起算して1カ月を経過した日
地方税では、税務署で行われた確定申告や修正申告に基づき賦課された住民税について、所得税の更正の請求に基づく更正や、税務署の職権による更正により所得税が減額になったことに起因して住民税も減額になった。そのために過納金が発生した、という場合である。
給報により課税していたが、その後の確定申告により減額になった場合等は該当しない。

第1号
既に確定していた地方税について、更正、決定、賦課決定により税額が減少したために発生した過納金で、2号、3号に該当しないもの
起算日:納付の翌日
固定資産税、大半の住民税、軽自動車税が該当

第4号
その1:申告により課税されていた地方税を、更正の請求に基づく更正以外の更正で減額した場合に発生した過納金
起算日:更正日から1カ月を経過した日
地方税では法人市民税が該当する可能性がある

その2:これまでのいずれにも該当しないもの
起算日:納付の日から1か月を経過した日
誤納金くらいしか該当しないかも。

 

注意:これはあくまで個人が考えた解釈です

更正の請求 修正申告

国税通則法所得税法

修正申告
申告の内容が過小であるため、自ら適正な内容に改めて申告をやり直すこと。
 →追加で税金を支払う必要が出てくる。

更正の請求
申告内容が過大であるため、税金を還付してもらうように請求すること。
 →税金が返ってくる。


給報により源泉徴収されていた所得税を修正するために申告するのは、修正申告や更正の請求ではなく、確定申告である。

更正 決定 賦課決定 その2

地方税法第17条の5 ほか

更正
納税者又は特別徴収義務者が申告「納付納入」又は「特別徴収」(個人の住民税を除く)により徴収する地方税について、提出した申告書に記載された「課税標準額又は税額」を、増額し、又は減額する処分。

決定
納税者又は特別徴収義務者が申告「納付納入」又は「特別徴収」(個人の住民税を除く)により徴収する地方税について、すべき申告をしなかった場合において、申告すべきであった課税標準額及び税額を確定させる処分。

なお、いったん更正し、又は決定した課税標準額又は税額をさらに増額し、又は減額する処分も更正である。


賦課決定
普通徴収の方法によって徴収する地方税の税額を確定する処分(特別徴収の方法によって徴収する個人の住民税に係る特別徴収税額を確定する処分を含む)。

なお、新たに課税する場合はもちろんのこと、一度賦課決定された税額を増額する場合、減額する場合も賦課決定という。