相続により租税を複数の相続人で分割して納付する場合の延滞金の計算(租税)

国税通則法基本通達第60条関係

 例えば、固定資産税の納税義務者が、税金を納付されないまま死亡した場合、相続人に対して請求することになるが、その場合の延滞金の取扱いについては、国税通則法基本通達第60条関係4に取扱い方法が規定されている。

「未納の国税が相続により分割して承継された場合における延滞税は、その分割して承継された未納の国税を基礎として計算するものとする。ただし、相続開始前に国税の一部が納付されている場合には、その一部納付の日までの期間の延滞税は、被相続人国税について算出した額を相続分によりあん分した額とする。」

例を挙げると次のようなことになる。

事例1
 平成21年度固定資産税第1期50,000円、納期限平成21年4月30日が滞納となる。その後平成23年4月30日に本人が死亡。相続人は子どもA・B・Cの3名いる。この場合に、相続人Aに対する、平成24年4月30日時点での徴収金(本税及び延滞金)はいくらになるのか。

回答1
 相続割合に応じて、未納固定資産税の納付義務が発生するため、Aの納付義務は50,000円の3分の1で、16,666円である(1円未満は切り捨てとなり、3名合算しても当初額から2円不足することになるが、これは請求先がないため不納欠損せざるを得ない)。

 この16,666円に対して、納期から平成24年4月30日時点までの延滞金を計算すると、6,800円
(納期から1か月間の延滞金は16,000円×31日÷365日×4.5%=61円(1円未満切り捨て)、それ以降は16,000円×1,065日÷365日×14.6%=6,816円。この2つを合算し100円未満を切り捨てると6,800円となる)
 よって、平成24年4月30日時点でのAの納付しなければならない徴収金額は
  本税:16,666円、延滞金:6,800円
である。



事例2
 平成21年度固定資産税第1期50,000円、納期限平成21年4月30日が滞納となる。平成22年4月30日に本人が5,000円を一部納付。その後平成23年4月30日に本人が死亡。相続人は子どもA・B・Cの3名いる。この場合に、相続人Aに対する、平成24年4月30日時点での徴収金(本税及び延滞金)はいくらになるのか。

回答2
 まず、本税の納付義務は、未納額が45,000円であるため、その3分の1、15,000円の納付義務がある。
 次に延滞金であるが、第1段階目として一部納付日までの延滞金を計算しなければならない。
 平成22年4月30日時点での延滞金は、6,871円である(納期から1カ月の延滞金は50,000円×31日÷365日×4.5%=191円(1円未満切り捨て)、それ以降は50,000円×334日÷365日×14.6%=6,680円となり、それぞれを合算する。なお、100円未満切り捨てはまだおこなわない)。
 これによりAが納付しなければならない延滞金のうち、22年4月30日までの部分については、6,871円の3分の1である、2,290.333…円となる。
 第2段階目として、一部納付以降、つまり平成22年5月1日以降の延滞金については、Aの本税の納付義務が15,000円であるため、これに対する平成22年5月1日から平成24年4月30日までの延滞金を計算すると4,386円、(15,000円×731日÷365日×14.6%=4,386円)となる。
 この2期間の延滞金を合算し、端数処理を行うと、6,600円となり、これがAが納付しなければならない延滞金の総額となる。
 よって、平成24年4月30日時点でのAの納付しなければならない徴収金額は
  本税:15,000円、延滞金:6,600円
である。