介護保険料の減額更正は何年遡るのか

介護保険法第200条第1項
地方税法第17条の5第4項

 所得税の更正等により地方税課税標準の減額が行われた場合には、介護保険料も減額更正することになる(厳密には賦課決定)。
 この場合に何年間遡って減額できるかが問題になる。

 介護保険法第200条第1項で、徴収に関する時効が2年と規定されている。
 このことから、まずは、増額に関する更正は2年までであると考えられる。
 続いて減額の場合についても、同様に考えるべきかと思われるが、これと異なる結論の裁判例が確定している(大阪高裁平成23年8月30日平成23年(行コ)第30号介護保険料減額更正請求酵素事件)
 これによれば、減額更正は新たに徴収権を行使するものではなく、また還付請求権も減額決定をした後でなければ行使できないため「権利を行使することができる時」とは、更正決定日であり、遡及更正を妨げるものではない、と判示している。

 よって、地方税法では課税標準の更正は5年間遡って減額更正できるため、介護保険料についても5年間遡って減額更正できることとなり、還付については5年間遡って行うことになる。

○減額更正は5年分まとめて行うことができる

○5年分の還付金及び還付加算金の消滅時効は、還付通知から2年