公立幼稚園保育料、公立学校授業料の債権種別

幼稚園保育料、公立学校授業料は、公の施設の使用料として公債権の性質を有する。
大学授業料について判例等がいくつがでているが、これまでのところ公立学校の授業料の性質に関するものはない。
判例の内容を基に私債権である、と解説する書籍もあるが、判決内容を読む限り私債権と決断するまでには至らないと思われる。


最高裁判例要旨
○S52.3.15(昭和46年(行ツ)第53号)
国公立大学における専攻科修了認定行為は、行政事件訴訟法第3条にいう処分にあたる。

○S52.3.15(昭和46年(行ツ)第52号)
大学の授業科目の単位授与(認定)行為は、司法審査の対象にならない。

○S62.2.6(昭和59年(オ)第1058号)
国家賠償法第1条第1項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動も含まれるものと解するのが相当。

○H18.11.27(平成16年(受)第2117号)
私立大学の授業料は、学校と生徒との私人間で交わされた在学契約に基づき、学校が教育役務、教育施設利用させる義務を負い、生徒はそれに対する対価(授業料)を支払うことをお互いに約束した、有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約と解するのが相当。

○H18.11.27(平成17年(受)第1437号)
私立大学の入学金は、在学契約の予約を行うためのものであり、授業料は在学期間中の教育役務に対する対価である。

下級審裁判例要旨
○H19.3.23名古屋地裁(平成17年(ワ)第4665号)
大学を運営する自治体と学生との間の在学に関する法律関係は、大学が教育役務を提供するとともに、教育施設を利用させる義務を負い、学生が大学に対して、これらに対する対価を支払う義務を負うことを中核的な要素とする公法上の無名契約(在学契約)と解するのが相当である。
国公立大学における入学許可は行政処分であるが、公法上の無名契約を成立させるためには、双方の意思表示が必要であり、その意思表示に欠缼又は瑕疵があれば民法上の意思表示に関する規定に準じて取り消され得る。