各地方税の法定納期限等

地方税法第14条の9

地方税の法定納期限等は、原則としては法定納期限が法定納期限等となるが、これ以外となる場合を地方税法で定めている。
主なものは以下のとおり

1.不動産収得税
 納付の告知書を発した日(地方税法14条の9第1項第3号)

2.住民税
(1)原則:確定申告期限(3月15日)(地方税法14条の9第2項第5号イ)
(2)給料からの特別徴収:特別徴収義務者への通知期限(5月31日)(地方税法14条の9第2項第5号ロ)
(3)年金からの特別徴収:年金保険者への通知期限(7月31日)(地方税法14条の9第2項第5号ハ)
(4)法定納期限後に更正等により課された住民税:納付の告知書を発した日(申告による場合は申告日)(地方税法14条の9第1項第1号)

3.固定資産税
 法定納期限(第1期の納期限)(地方税法14条の9第1項カッコ書き後段)

4.自動車・軽自動車税
 法定納期限(納期限)(地方税法14条の9第1項カッコ書き後段)


ちなみに、2の住民税について、(1)の3月15日は休日の場合は翌営業日に延期となるが、(2)の日付についてはたとえ休日であっても延期されない(地方税法第20条の5第2項、地方税法施行令第6条の18第1項第3号)
(3)の7月31日については、延期されない旨の規定は発見できていないが、(2)の規定から鑑みるに、延期されることは無いと考えられる。

配当計算書の作成日と配当日の定め方

国税徴収法第131条、132条
国税通則法第10条

 滞納処分により換価、取り立てした代金を滞納税等に配当するため、配当計算書を作成するが、その各日付については、
①配当計算書の作成、送付
 取立した日から3日以内
②配当日
 配当計算書を発送した日から起算して7日を経過した日
と定められている。つまり

例1)
取立日を4/1とすると、配当計算書の作成は4/4までに作成、発送が必要。
配当計算書の作成を4/4とすると、配当日は4/11となる。
(4/10は7日目であるため、その翌日が「経過した日」である)

なお、配当計算の作成にあたっては、作成期限の最終日が休みに係る場合は、国税通則法第10条が適用となり翌営業日まで延期することができる。
これは、配当先を決定することについても、処分の一つであるためである。
しかし配当日については、通則法10条の適用は無く、7日目が休み(例では4/11が日曜日である場合等)であってもそのままとしなければならない(国税徴収法第132条第2項により、配当日を前倒しにすることはできる)。

では、年末に換価・取立した場合、特にH26~H27のように年末年始が土日に絡む場合はどうなるか。

例2)
H26.12.25に取立てた場合
まず、配当計算書の作成期限は、H26.12.28までとなるが、当然休みであるため、翌営業日のH27.1.5までに作成すればよい。
よって、配当計算書の作成日は
 ①H26.12.25(木)
 ②H26.12.26(金)
 ③H27.1.5(月)
のいずれかで作成すればよいことになる。
それぞれの場合の配当日は
 ①H27.1.1(木・元日)
 ②H27.1.2(金)
 ③H27.1.12(月・成人の日)
となるが、ここで注意が必要なのがこの配当日、いずれも休日である。しかし、後ろにずらすことはできない。
国税徴収法の規定をつかって前倒しにすることは可能ではあるが、条件があり、また滞納者・権利者の不服申し立てを行うことができる権利を適切に確保するため、あまり前倒しするべきではない。

各自治体の会計処理・帳票管理との関係もあるが、国税通則法・徴収法の趣旨を鑑みれば、例2の場合には
 取立:H26.12.25
 配当計算書:H27.1.5
 配当日:H27.1.12(会計実務は13日に行う)
とすることが望ましいと考える。

児童手当から徴収可能な債権

児童手当法第22条の3

 平成23年度の子ども手当法の改正以降、児童手当から子どものための費用に充てることが可能となった。
 現在のところ、充当できる債権についての規定は、次のようになっている。

児童手当法第22条の3
給食費等の学校教育に伴って必要な厚生労働省令で定める費用
②保育料等の保育料に類するものとして厚生労働省令で定める費用

児童手当法施行規則第12条の10
①学校教育に伴って必要な費用とは
 ・学校給食費
 ・幼稚園又は特別支援学校の幼稚部の保育料
 ・小中学校の各学年の課程において使用する学用品の購入に要する費用
 ・放課後児童健全育成事業の利用に要する費用
 ・その他学校教育に伴って必要な費用
②保育料に類する費用とは
 ・子育て短期支援事業の利用に要する費用
 ・一時預かり事業の利用に要する費用
 ・家庭的保育事業の利用に要する費用
 ・児童福祉法施行規則第19条第1号及び第2号に規定する事業の利用に要する費用
 ・その他保育料に類する費用


その他保育料に類する費用については、平成24年3月31日雇児発0331第1号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「児童手当法の一部を改正する法律等の施行について」の第4の2の中で解説されている。
「その他保育料に類する費用としては、延長保育料や休日保育料などが該当するものであること」

国保税の還付加算金について地方税法第17条の4第1項第3号の適用について

地方税法第17条の4第1項第3号

 国保税の還付加算金について、書籍には記載があるが、通達番号等の資料が無かったため、箇条書きでメモを残します。
 出典はいずれも、ぎょうせいの「地方税法総則実務提要」です。詳しくはこのの書籍を参照。

地方税法第17条の4第1項第3号の過納金は、所得税準拠の個人住民税及び個人事業税に係る過納金であり、国保税は含まれない者と解される。
国保税の納税義務者が資格喪失届を著しく遅れてあった場合も、還付加算金の計算の始期は、納付の翌日から。喪失届の遅延は、還付加算金とは別の問題であり、条例例29条に過料を科す規定がある。

 この考えを基にすると、国保税以外の、国保料、介護保険料、後期保険料についても、3号適用はない、ということになる。

本税と延滞金を還付する場合の還付加算金について

地方税法第1条第1項第14号、第17条の4

 延滞金を含めて納付していた税に対して、減額となり還付しなければならなくなった場合、還付加算金の計算基礎となる金額は、本税と延滞金を加えて計算すべきか、本税と延滞金は別に計算すべきか。
 地方税法17条の4を読む限りは明確な規定は無いが、地方団体の徴収金に対して還付加算金を計算する、となっており、一つの更正決定に基づき発生した還付金を合算して計算せよとはなっていない。
 このことから、本税と延滞金については、その発生根拠が異なるため、別の徴収金と考えることが素直な整理だと思われる。
 よって、本税に対する還付加算金と、延滞金に対する還付加算金はそれぞれ個別に支出するべきと考える。

介護保険料の減額更正は何年遡るのか

介護保険法第200条第1項
地方税法第17条の5第4項

 所得税の更正等により地方税課税標準の減額が行われた場合には、介護保険料も減額更正することになる(厳密には賦課決定)。
 この場合に何年間遡って減額できるかが問題になる。

 介護保険法第200条第1項で、徴収に関する時効が2年と規定されている。
 このことから、まずは、増額に関する更正は2年までであると考えられる。
 続いて減額の場合についても、同様に考えるべきかと思われるが、これと異なる結論の裁判例が確定している(大阪高裁平成23年8月30日平成23年(行コ)第30号介護保険料減額更正請求酵素事件)
 これによれば、減額更正は新たに徴収権を行使するものではなく、また還付請求権も減額決定をした後でなければ行使できないため「権利を行使することができる時」とは、更正決定日であり、遡及更正を妨げるものではない、と判示している。

 よって、地方税法では課税標準の更正は5年間遡って減額更正できるため、介護保険料についても5年間遡って減額更正できることとなり、還付については5年間遡って行うことになる。

○減額更正は5年分まとめて行うことができる

○5年分の還付金及び還付加算金の消滅時効は、還付通知から2年

国民健康保険料等の還付加算金の根拠

地方自治法第231条の3第1項・第4項

地方税の還付加算金については、地方税法第17条の4に規定がある。
税以外で、いわゆる公債権についての還付加算金の規定は、地方自治法第231条の3第4項に「地方税の例による」とされているので、地方税法の前記規定等を準用することになる。
なお、各法律に特別規定がある場合には、地方自治法ではなく、当該法律の規定が優先適用される。


各法律での特則

国民健康保険
国民健康保険法110条で、還付金の消滅時効を2年と規定

後期高齢者医療保険
高齢者の医療の確保に関する法律第160条で、還付金の消滅時効を2年と規定

介護保険
介護保険法第200条で、還付金の消滅時効を2年と規定

保育所保育料、下水道使用料、下水道事業受益者負担
無し